テンションの話

タンゴは基本的に胸でリード、手は使わない踊りだといいます。でも手はその胸から生えているから、やっぱり手の位置が悪いと踊りづらいし、副次的には使っているみたい。

女性も指先に力を入れる必要はないんだけれど、うっかり力が入ってしまう時があります。それはどんな時かと女性の立場でいうと、


リードがわかりづらい(自分にとって弱いと感じる、)

拍子が(自分の思う踏みどころと)ずれてる


理想はそこに特別な力を感じないくらい、リードを与えるテンションと感じるテンションが均衡していること。簡単なことのように感じるけれど、お互いのタンゴ観、音楽観、フィーリングによって決まってくることなので、なかなか合わないことが多いのです。

私の未熟さゆえということもよくありますが、いつも踊っている相手でも「あ、わからない」と思った瞬間怖くなって押してしまうこともある。相手が厳密なフォローを要求しているのが感じられて、よりリードを感じようとするばかりに押してしまうこともある。ほんとうに難しい。

で、さらに怖いのは「自分が押している」ということを、「押している」その時にはなかなか客観的に感じることができないこと。「重いよ」「押してるよ」と指摘されて初めて気がつくことが多いのです。落ち着いてみると肩が上がっていたり、肘が固まっていたり。相手の親指をぎゅうぎゅう握りこんでいたり。

男性がわかりづらいのか、女性が理解できないのか?男性の刻みがあっていないのか、女性があっていないのか?大人数で踊るものならば、どちらが正解というのは一目瞭然かもしれません。でもタンゴは二人で完結する踊りだからそこには正解があるとは限らない。

だからこそ、少しずつ少しずつ相手のテンションを探って、それを自分のテンションにしていかなければならないのですね。

タンゴも仕事もプライベートも、丁寧さを大事にしたい今日この頃です。